標準化活動への取り組み

国内標準化活動

日本工業炉協会は,製造業における素材加工の基礎となる工業炉の工業規格開発に1967年より関与し,現在に至るまで工業炉及び関連技術全般に関する工業規格の策定及び普及事業を継続的に推進してまいりました。

1980年 工業炉安全の研究を開始
1982年 JIS B 8415:1982「工業用燃焼炉の安全通則」制定
1989年 JIS B 0113:1989「工業用燃焼装置用語」改訂
2008年 JIS B 8415:2008「工業用燃焼炉の安全通則」改正
▷欧米規格及び機械のリスクアセスメント規格(ISO 12100/JIS B 9700)への対応
2010年 JIS B 8407-1:2010「強制通風型ガスバ-ナ」及び
JIS B 8407-2:2010「強制通風式油バ-ナ」制定
▷国際規格(ISO 22967及びISO 22968)整合
2013年 JIS B 8420「抵抗加熱炉の安全通則」制定
▷国際規格 (IEC 60519-2)整合
2020年 「工業用燃焼炉の安全通則」
JIS B 8415-1:2020「第一部 一般要求事項」
JIS B 8415-2:2020「第二部 燃焼及び燃料取扱システム」
JIS B 8415-3:2020「第三部 プロテクティブシステム」
制定(JIS B 8415:2008は廃止)
▷国際規格(ISO 13577-1,2及び4)整合

国際標準化活動

日本工業炉協会は2008年に設立されたISO/TC 244「工業炉及び関連設備」1の国際幹事及び議長を設立当初より努めています。

ISO/TC 244は,各種工業炉の安全基準,効率評価基準,品質管理基準などの国際規格を策定するTC(Technical Committee)です。300余り存在するISOのTCのなかで日本が幹事国を引受けているTCは約20にとどまり2,TC幹事国業務を担うことは,日本の産業において貴重な責務と言えます。

ISO/TC 244の参加国数(P-member)は18か国,現在までに14の国際標準が発行済みとなっております3

日本工業炉協会は幹事国として,ISO/TC 244における全ての規格策定のとりまとめ,及び国際標準策定段階における専門家による積極的な参加を行ってまいりました。特に,効率性のたかい日本の工業炉を普及させるために,現在5つのパートからなるISO 13579「⼯業炉及び関連処理機器-エネルギー勘定の測定及び効率の計算⽅法」(下表参照)の全てのパートの新規国際標準提案を行い発行にまで至らせております。ISO 13579シリーズの主なポイントは以下の通りです。

  • 工業炉の熱勘定(Heat Balance)の一般的方法論,測定方法,計算方法を規定した。
  • いくつかの代表的な炉種についての熱勘定の方法論の規定及び評価方法例を提供した。
  • ⼯業炉の省エネルギー対策の実施に重要となる効率指標を規定した。
  • 従来の熱効率(エンタルピー効率)に加えて、近年新しい指標として⽤いられているエネルギーの質を考慮する「エクセルギー効率」を新たに規定するともに、エクセルギー効率とエンタルピー効率の考え⽅の違いを具体例を⽤いて規格の付属書に記載し、⼯業炉の効率評価の選択肢を広げた。

ISO 13579の国際標準化活動は,1990年代から展開され,大きな省エネ効果を達成した国プロジェクトによる「高性能工業炉」の新規技術を,アジア各国をはじめとした世界各国への普及させることを念頭に展開されました。

日本工業炉協会は,日本の工業炉製造産業の発展,及び同産業における国際貢献のために,ISO/TC 244における国際標準化活動を中心として,関連する業務分野においても積極的に尽力してまいります。

ISO/TC 244の国際規格

2021-10-01現在

規格番号 名称 備考
ISO 13574:2015 用語
ISO 13577 安全要求事項(各部)
-1:2016 一般要求事項
-2:2014 燃焼及び燃料取扱システム 改訂中
-3:2016 保護及び反応雰囲気の発生及び使用
-4:2014 プロテクティブシステム 改訂中
ISO 13578:2017 アーク炉による製鋼のための機械及び設備の安全要求事項
ISO 13579 エネルギーバランス及び効率の方法(各部)
-1:2013 一般的方法論 日本提案
-2:2013 鋼片再加熱炉 日本提案
-3:2013 バッチ式アルミ溶解炉 日本提案
-4:2013 保護及び反応雰囲気を用いた炉 日本提案
-11:2017 種々の効率の評価 日本提案
ISO 23495:2021 転炉及び関連機器の安全要求事項
ISO 20431 熱処理-品質管理 制定中
ISO 4529 二次製鋼-溶鋼設備の安全要求事項 制定中